ゴーとメリーは空中ブランコのはしごもちとおっとせいの世話係のサーカスの団員であった。巡演でハワイにきていた一座は破産してしまう。二人が退職金がわりにもらったものはオームの入った鳥かご一つだけであった。ところが二人は、鳥かごから千二百万円也と書かれた借用証書をみつける。二人は日本に帰り、証文をたてに貸金を取りたてようと、その日から旅費をかせぐため、アルバイトを始める。ある日、ゴーは旅行者らしい七子と知り合い、デートを重ねるうちに心ひかれていく。両親とバカンスに来ているという彼女は、数日後、何も告げずに日本に帰ってしまった。ゴーとメリーは、証文の借主のいる東京の万来町へやってくる。借主の鴨下権十郎は、妻に逃げられ、ひとりで質屋を営んでいた。二人がさし出した証文を見ながら権十郎は、街の連中に貸した金の証文があるから、それを取り立ててくれれば金は返すという。翌日、噂を耳にした床屋ら街の住民が連れだって質屋に談判にやって来たが、権十郎は好物のフグに当って死んでしまう。権十郎には娘がいて、神田の八百屋で働いていると聞いたゴーは、早速逢いに出かける。ところが驚いたことには、その娘は七子であった。翌日から七子は質屋を切り回し始めた。ゴーはそんな七子の右腕になって働くが、したたかな街の連中が相手のため、借金の取り立ても思うようにはかどらない。強行手段に訴えて、二人はそれぞれの商売道具をさし押さえてしまった。日が経つにつれ、ゴーと七子は互いに心を開いていく。そんな二人に嫉妬したメリーは、証文を持ち出し、三十万円で街の人達に売り渡し、そのまま姿をくらましてしまった。その晩七子は、幼い頃別れた母親に逢いに行きたいとゴーに話す。もの影から、七子と母の姿を見たゴーは、七子の前からそっと姿を消してしまう。ひとりで質屋にもどった七子を、うしろめたさを感じて彼女を励ましにきた街の住民が温く迎えた。動物園にやって来たゴーは、おっとせいの池の前で、楽しそうに池の中をながめるメリーをみつける。泳いだり、寝そべったりしている無邪気なおっとせいを見ながら、二人は再びいつの日にかサーカスで働けることを夢みるのであった。